第12号(P.12~13)8・9長崎反戦反核集会

全国期間制教師労働組合慶尚(キョンサン)支部長、ルポライター ソブンスク

 聞け、韓国の民衆の声を!  

 戦争に反対する!

 核に反対する!

 非正規職労働に反対する!

 非正規職労働の問題、原発が起こす核爆発の問題、米国と北朝鮮、韓国の保守政権が引き起こす戦争の問題が、韓国社会では別々ではなく、総体的に同じ問題として論議されています。

 分離することのできないこの三つの問題に関して、もう少し詳しく話そうと思います。

 韓国の民衆に苦痛を強いているこの問題に関する激しい抵抗こそが、まさに2年前のパククネ弾劾へと発展したろうそく集会です。

 韓国民衆たちの抵抗が強かったが、当時、野党だった民主党を代表した国会議員、今のムンジェイン大統領は、最初はパククネ大統領弾劾に反対しました。しかし、民衆たちの抵抗が激しくなるや、ようやくパククネ大統領弾劾に加わり、ついに大統領の座に就きました。

 彼は、最初は民衆の要求に敏感でした。大統領候補の時代から彼は非正規職労働者を正規職化し、古里(コリ)原発5、6号機の建設を全面的に見直すと宣言していました。慶尚北道星州市韶成里(キョンサンブクト・ソンジュシ・ソソンリ)へのサード配置も見直すと言っていました。

 ムンジェイン氏が大統領に当選してから、1年以上の時間が過ぎました。しかし、ソソンリに設置されたサード基地は、依然として健在です。

 サード配置台があるソソンリと、サードのレーダーが向かう方向にある慶尚北道金泉市(キムチョンシ)の住民は、毎日、軍人と警察と対峙しています。

 誰よりも南北の平和と統一を期待していた住民たちは、実は南北首脳会談が行われた瞬間、誰よりも喜んで拍手をしました。サード基地の米軍部隊がある慶尚北道星州市達馬山(タルマサン)には、この村の人々の両親と先祖の墓があります。先祖代々、墓参りをして草を刈り、祭祀を執り行ってきた伝統的風習が、昨年からは韓国と米国の軍人と警察によって禁止されました。南北首脳会談が行われ、サード問題が解決されれば、真っ先に両親の墓参りをしたいと言っていた人々は、そこに行くことができないのです。

◆サード配置の目的

 

 私たちは、今サード配置と南北首脳会談の目的を疑っています。

 サードは北朝鮮の核を阻止するためではなく、米国が韓半島に永久駐留するための大義名分だと考えられます。サード配置のために、韓国政府が米国に無償で提供した土地は数十万坪です。これで米国は、京畿道平沢(キョンギド・ピョンテク)、済州道江汀(チェジュド・カンジョン)基地まで含めて、アジアを占領する陸軍、海軍、空軍の軍事基地を確保しました。米国の古い武器を売り渡せる安定した市場として、韓国をずっと利用することができるようになります。

 韓国の民衆は、相変わらず苦痛を受けているのです。今日もソンジュとキムチョンでは「サードを撤去して平和を植えよう」「北朝鮮の核の脅威は消えた。ムンジェインは直ちにサードを撤去せよ」というスローガンを住民は叫んでいます。

 同様に、韓国政府の誤った政策と暴力に抵抗し、闘いを続けている所が他にもあります。慶尚北道の密陽(ミリャン)と清道(チョンド)です。

 慶尚北道と慶尚南道を合わせた慶尚道と呼ばれるこの地域は、昔からパククネ大統領の父親の朴正煕(パクチョンヒ)大統領の支持基盤でした。歴代政権は米軍駐屯地として、これらの地域を積極的に活用し、さらに原発の建設地としてもこの地域を利用しました。

 慶尚道地域の住民たちは、自分たちが支持した政権によって自分たちの生存を踏みにじられるという悲惨な経験をしています。

◆古里原発

 ムンジェイン大統領は、民主党大統領候補の時には、原発が、慶尚道に密集していることへの憂慮に共感しました。特に、建設予定地の古里

原発5、6号機の建設計画を白紙に戻すという公約を彼は掲げていたのです。

 古里原発地域は、世界的にも珍しいほど原発が密集している地域です。古里5、6号機が建設されたなら10基の施設が古里地区に存在することになります。それだけでなく、さらに近隣の月城(ウォルソン)原発には、6基の原発施設があります。

 しかもこの地域は、2016年に韓半島で起きた震度5.8の強震の影響が直接及んだ地域です。地質研究者によると、月城とその周りの原発は活断層帯の上に建設されているため、震度7.0以上の地震も発生しうる地域であり、その危険性が非常に大きい所であると言われています。

 古里原発の近くには300万人以上の人々が住んでいます。地域住民の80%以上が原発の閉鎖を望んでいます。たとえ電気料金が上がっても、原発を閉鎖し、環境にやさしい発電所を建設することを願っています。その願いは、韓国民衆のろうそく集会にもそのまま込められています。

 しかし、大統領に当選した後、ムンジェイン大統領は、建設計画の白紙化という公約を履行しませんでした。その責任は、再び住民に返され、投げつけられたのです。建設公論化委員会という機構を作って、なんと住民自らに建設計画を決定させたのです。わずか3カ月という短期間の作業で、建設公論化委員会は、古里原発5、6号機の建設計画を実施する方向で結論を出しました。直ちに工事が再開されました。

 韓国の多くの人々は、ムンジェイン大統領が公約を破棄したものと見ています。最も大きな打撃を受けているのは、古里原発近くの住民と、送電塔69基が立ち並ぶ地域の蜜陽の住民たちです。しかし、韓国の民衆たちは、原発全廃への希望を捨ててはいません。

◆非正規職撤廃を!

 福島原発事故での被害の復旧に従事した労働者の多くが非正規職労働者だということを韓国人は知っています。

 現代(ヒョンデ)自動車のような国際的な大企業も、自動車製造工程を非正規職の労働に回して久しいです。同じ工場で同じ自動車を作っても、工場の名前が異なっています。賃金も差別を受けます。そして、同一の時間内に非正規職労働者が生産しなければならない物量は、正規職労働者より一段と多いのです。

 韓国では製造業だけではなく、教育、鉄道、航空などに携わる非正規職労働者がたくさんいます。

 ある教員は、次のように語っています。

 韓国社会の民主化運動は、70~80年代の韓国の大学生を軸とする学生運動の影響を多く受けました。このような経験のためか、政権統治者たちには、教育を掌握しようという意図があります。中学校、高校、そして大学の教員たちの中で非正規職教員が増える傾向があります。

 教員を選ぶ権利の大部分が学校長にあるため、非正規職の教員が社会や学校を批判したり、信念ある行動をした時は、彼らの生計を脅かされることとなり、将来の生活保障が難しくなります。そのため社会を批判し、民衆の苦痛を教える教育が、中学校や高校から姿を消して久しいです。

 これが工場だけでなく、韓国社会全般で非正規職労働をなくし、正規職に転換しなければならない理由です。それは、反戦や反核の悲願を解決しなければならない韓国社会の要請でもあります。

 平和には国境がない。

 韓日民衆は連帯して、戦争なき平和な世界を!

 原発には国境がない。

 韓日民衆は連帯して、核施設を撤去して、平和な土地を建設しよう!

 労働には国境がない。

 韓日民衆は連帯して、非正規職の撤廃と雇用安定を勝ち取ろう!