第12号(P.5~6前半)韓国 ゼネストと国際連帯に向かって
民衆行動代表 イドクチェ
韓国のムンジェイン政権は、自営業者のことを言い訳にして最低賃金1万ウォン政策を中止しました。これは資本主義の矛盾により、日に日に減っていく資本家の利潤を守るという下心を表したものです。ご存じのように、資本の犠牲にされたサンヨン自動車の同志から30人目の自死者が出ました。
ムンジェイン政権は、1年目にして彼らが主張した所得主導政策の失敗を迎えました。
結局ムンジェイン政権も、かつてのノムヒョン政権の子らしく、改革の破綻の中で、鉄道民営化など新自由主義政策をさらに展開し始めるでしょう。
資本の危機を労働者に転嫁させる兆しは、GM群山(クンサン)などの事態で明確に現れ始めました。
日本の安倍も「働き方改革」という政策で、不安定労働をより一層不安にさせる側に走っていっています。およそ改革は、資本の危機の前に座礁するほかないのです。政権が先頭に立って資本を擁護するためです。資本の欲望を粉砕しなければ、改革を破綻させることはできません。この欲望を破壊できる勢力は労働者しかいません。
経済危機を労働者に転嫁し、労働者の労働力を搾り取ることによって自分たちの危機を乗り越えようとするのは、世界史上、どこでも再三繰り返されてきたことです。現在の韓国のムンジェインも、日本の安倍も、フランスのマクロンも、すべて反労働者政策で一貫しています。
このような資本主義の一般的な危機が、アメリカと中国の貿易摩擦により全世界でもっと大きく増幅されています。これにともない、南中国海などを中心にアメリカと中国の間に、そして日本と中国の間に軍事的葛藤と危機が大きくなっています。万一、アメリカが南中国海を封じ込めるならば、地域紛争が資本の危機とともに戦争へと拡大するでしょう。
日本の中の米軍事基地と同じく、韓国の軍事基地およびサード配備は、ともに民主党(ムンジェイン与党)政権でも保守党政権でも、アメリカ帝国主義の一貫した政策です。衰退していく「パックス・アメリカーナ」(アメリカの平和)を維持しようとするアメリカは、経済・軍事分野で韓国と日本を前面に出させて帝国主義の姿を赤裸々に表すでしょう。
このような戦争の雰囲気は、マルクスの言う「利潤率低下傾向の法則」により、剰余価値がゼロに近づく2020年から2030年の間に、より一層高まり、なおさら資本による労働の搾取は強化されるでしょう。核問題(「朝鮮半島非核化」)は、戦争の雰囲気を隠蔽する遮蔽幕の機能をするものであり、南北会談、北朝鮮と米国の会談もまた、戦争と搾取の姿を隠蔽する機能を果たすものでしょう。
問題は資本主義であり、資本主義の搾取にあります。
その上、「建物主」(建物所有者)が「造物主」(神)の上にあるという韓国で、地代収奪の程度は限界を越えています(※訳注:韓国では不動産価格、地価が高騰している)。「働かざる者食うべからず」というマルクス主義の格言とは異なり、韓国においてもどこでも不労所得が肥大化し、経済的不平等は天を突き刺しています。
アメリカで社会主義を求めて、マルクスの「資本論」を読む若い世代が増えています。フランスではマクロン政権の露骨な労働者弾圧に対抗して、鉄道労組など労働者闘争の熱気が上がっています。マクロン政権は反労働者的な企業法を制定し、金さえ払えば労働者を思いのままに解雇できる法律を通過させました。これに対し学生と労働者が一つになって反政府闘争を強化しています。イギリスは新自由主義強化でNHS(国民保険サービス)システムが破綻を迎え、今年の冬にロンドンの市民、学生たち6万人がデモに出ました。全世界的に労働者への弾圧は、資本主義の危機が深化するほどますます強化されるでしょう。
韓国、日本はどうなのか。韓国の民主労総の執行部は、ムンジェイン政権の反労働者的な政策に力を貸しています。
韓国のムンジェイン・共に民主党政権は、スタートして1年が過ぎるやいなや、「韓国の進歩勢力は急ぎすぎだ」と言ったり、「最低賃金引き上げの速度調節が必要だ」などと言って、労働者勢力・左派勢力の要求どころか「進歩勢力」の要求さえも拒否しています。
先日、韓国の教授、研究者など数百名が、ムンジェイン政権に「改革を止めるな」という声明書を出したが、何も得るものはありませんでした。 ムンジェイン政権は景気低迷について話をして、資本の要求は聞き入れる一方で、労働者の要求は無視しています。
何をすべきなのか。進歩勢力が要求する改革は、資本の危機の前で無力にならざるをえない要求です。今私たちに必要なことは労働者のゼネストです。
資本主義の危機が深刻化するほど戦争ムードは大きくなり、ますます労働者に返ってくるのものは解雇と一方的な犠牲、そして死だけです。さらに資本主義の危機が全世界に一般化している今日の私たちには、労働者の国際的な連帯が切実に求められています。結局、マルクスが言ったとおり、全世界のプロレタリアは団結するしかないのです。
韓国・大邱の民衆行動は、韓国社会の左派勢力、階級的な労働者勢力、国際的な労働者勢力と連帯して、反資本主義の闘いに一層積極的に参加するでしょう。トゥジェン!
写真は、イドクチェ氏(上)と、テグの人々(下)
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