第11号(P.3後半)映評 映画「共犯者たち」
ゼネストと民衆総決起の中から、ストライキで、団結した!
映画「共犯者たち」
6月9日、なかのZEROで上映された韓国の映画「共犯者たち」の感想です。(上映会主催:『共犯者たち』東京上映実行委員会)
この映画は、2008年の李明博(イミョンバク)政権から朴槿恵(パククネ)政権、そしてそれ以降の公共放送の破壊者に対して、誇りをかけて闘った韓国MBCとKBSの放送労働者のドキュメンタリーである。
放送文化振興会の会議場に入り、「先輩! 解雇の理由を」と迫り、「歴史を恐れてください」と言い切るMBC労組委員長。次々と報道番組が打ち切られ、キャスターが頭を下げる最終回の様子。「金・張・謙(=当時のMBC社長・キムギョンジャン)は出ていけ」初めは自撮りライブ1人から始待った行動が、あちこちから「1人にさせない」と、スマホを持った大合唱へ――等カメラは追う。
2008年、韓米FTAにより輸入された牛肉にBSE(いわゆる「巨牛病」)の疑いがあるという報道からの、ソウル中心部を埋め尽くす数万人の「ロウソクデモ」、(イミョンバク政権が政策の目玉として押し出した)4大河川事業に関する政権批判報道に打撃を受けたイミョンバク政権は徹底した労組破壊を行った。
天下り社長による報道チームの解体、非制作部門への異動、地方への配転に対し、両労組は2010年(39日間・29日間)2012年(170日間・95日間)ストライキを闘い、不当解雇は続いた。公共放送の死ともいえる2013年4月の「セウォル号乗員『全員救出』報道」は決定的だった。記者は石を投げつけられた。
2013年12月鉄道労組の23時間の民営化阻止の23日間のストライキ。14年ゼネストを掲げてのハンサンギュン委員長の登場、2015年の労働改悪阻止を掲げたゼネストと民衆総決起。パククネ政権を終わらせようと民主労総がゼネストで牽引(けんいん)した2016年11月の100万デモの中ですら、放送労働者が集まった労働者民衆から激しく弾劾される場面もあった。
しかし、解雇された放送労働者は、この間4万人の市民の援助で調査報道専門の独立メディア「ニュース打破(タパ)」を立ち上げ、粘り強く、発信しつづけた。
パククネ打倒の中で、2017年にはMBC労組71日間、KBS労組39日間のストライキを背景に、最大の公共放送「破壊者」であるイミョンバク・パククネにつながる両者の社長らを引きずり下ろした。解雇者は職場復帰した。
上映後には、この映画の監督であり、昨年MBCの社長に就任した崔承浩(チェスンホ)さんのあいさつも行われた。チェスンホ監督は、「1987年(労働者代大闘争)の決起はバラバラの決起だった。しかし、今回は労働組合を拠点にした、団結した勝利である。闘いはこれからである」と壇上で語った。
(東京西部・伊藤登美子)
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