第20号(P.5)フランス マクロンの弾圧と対決し闘い続く

 フランス人ジャーナリストのP・ブルースさんから事務局に寄せられた通信を掲載します。(事務局)

①フランス南部の都市コメルシの市長が、黄色いベスト運動の集いの場であった団結小屋の取り壊しを決定した。

②上院が破壊活動防止法を可決した。これによって、行動を起こしていなくても、デモに参加しようとしただけで一定の諸個人を罰することができるようになる。集会に参加する権利、人をオルグする権利が奪われる。アムネスティ・インターナショナルは、これを民主的権利への攻撃だとして弾劾している。

③フリージャーナリストのダビッド・デュフルーヌは、この間の黄色いベスト運動のデモでの警官の不当な暴力行為をビデオと写真で実証的に記録している。この間の不当逮捕者数は8千人を超えることが明らかになった。これはすべて警察が政府と金融資本の命令によって行ったことだ。しかも、その大部分が平和的なデモの最中、あるいはデモの近くを通りかかっただけで警官の攻撃を受けたのだ。ダビッドは、負傷者が2千人、重傷が210人で、22人がフラッシュボールと呼ばれる閃光(せんこう)弾で片目をつぶされていることを明らかにし、これに基づいて眼科医のグループがマクロン政治による弾圧だとして抗議文を提出した。国連とヨーロッパ委員会すらも、権威主義的で抑圧的な暴走に憂慮を示し、フランス政府の治安維持政策に異議を申し立てた。

④政界の問題としては、エコロジスト党の代表の1人であるヤニック・ジャドーがマクロンの党に接近して、「エコロジーは市場経済と共存すべきだ」などと言うに至っている。共和主義運動の上院議員で元首相であるジャン・ピエール・ラファランもまたヨーロッパ議会選挙を前にして、マクロンの党に加盟したいという意向を明らかにしている。かつて反対派であったこうした人物たちは、今になって突然、自分たちの政治生命を守り金銭的な保障を獲得する道に飛び込んでいるのだ。大統領の党のスープが温かいうちは、こうした政治家たちは心配せずにごちそうになっていられるわけだ。ただ、煮立ったスープの中の目玉をあわてて飲み込まないように注意することだ。最近は、目玉はいくぶん消化がよくないから。【この間デモでつぶされた目玉がスープの中で見つめている、という警告】

⑤対外政策では、マクロンはヨーロッパの現状について演説し、国境管理を強化すること、移民の定住を阻止するためにヨーロッパ規模で入国管理の統一的な規制を厳格にすることを要求した。この演説は、ハンガリーの極右指導者オルバンに歓迎された。フランスは、移民と政治的亡命者に対する極めて厳重な立法により、家族から子どもたちを隔離して収容所に入れることを許可した。

写真は、

 4月13日に全土で行われた第22回行動