第20号(P.4)韓国 労働改悪阻止へ 民主労総が総力闘争

 ムンジェイン政権が今や、資本家の政府としての本質をむき出しにして労働者階級に襲いかかっている。

 現在問題となっているのは、弾力勤労制(変形労働時間制)の拡大と最低賃金制度の改悪だ。弾力勤労制とは、資本が法定労働時間に縛られることなく一定の期間内で労働者を好き勝手に働かせることができるものだ。労働者は繁忙期に過労死レベルの強労働を強いられる一方、夜間手当なども支払われなくなる。

 労働者の怒りをかきたてているのは、それを突破口に、財界が要求する労働基本権の全面解体を政府と与野党が受け入れ、パククネの時代にもできなかったようなとんでもない労組破壊攻撃に乗り出そうとしていることにある。

 まず、争議の際に労働者が職場を占拠することを禁止し、代替要員=スト破りの投入を無制限に認めろと要求している。職場を武器に闘うことを否定し、ストライキそのものを無力化しようというのだ。あわせて、使用者による一方的な団体協約解約の容認も検討されている。

 極めつきは、資本家の行う不当労働行為に対する処罰条項の削除を公然と要求してきたことだ。その一方で、なんと労働組合による「不当労働行為」の認定と規制を求めている。組織拡大活動や産別交渉要求という労働組合にとって必須不可欠な行為を、労働者による「不当労働行為」と規定するものだ。資本による労組破壊を免罪する一方で、労働者が組合に団結して闘うこと自体を犯罪視するものであり、絶対に認められない。「労働者による不当労働行為」という概念がすでに導入されているアメリカでは、労働組合が「労働者の『働く自由』を阻害する存在」とされ、さまざまな破壊攻撃がかけられている。政府と癒着した資本が狙っているのは、まさしく「労働組合のない社会」だ。

労働組合運動の存亡かけた決戦

 これに対して、「労働者の闘いの歴史を一気に崩そうとしている」と、韓国の労働者の中に根底的な怒りが沸き起こっている。労働者階級が軍事独裁政権の打倒を通して命がけで勝ちとり、守りぬいてきた労働基本権と民主労組運動の破壊は絶対に許さないという怒りだ。

 民主労総は、3・6ゼネストをもって労働改悪阻止の総力闘争に乗り出した。3月27日に国会前で行われた全国労働者大会で金属労組のキムホギュ委員長は「もはや政権への糾弾を超えて、政権の退陣まで考えなければならない極めて重要な情勢」とし、「憲法すら無視する国会が労働3権と労働者の生存権を否定すれば、黙っていることは断じてできない」と、弾力勤労制の拡大阻止を突破口にムンジェイン政権との全面対決に入ることを訴えた。

 4月1日からは国会正門前での籠城(ろうじょう)闘争に突入。不当逮捕も辞さない闘いで、ついに臨時国会での与野党合意を実力で粉砕し、本会議への上程を阻止した。しかし近く新たな臨時国会が召集される見通しであり、労働法改悪阻止の闘いはまさに正念場を迎えている。

(動労千葉国際連帯委員会・内田しをり)

写真は、

 ソウル・ヨイドで開催された集会(4月3日 ソウル)

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