第17号(P.4~5)アメリカ UTLAのストライキが歴史的大勝利 ロサンゼルスの街は赤い色で埋め尽くされた

協約交渉でかち得た 合意はパラダイムシフト

 1月22日の朝(日本時間では23日夜中)、UTLA(ロサンゼルス統一教組)とLAUSD(ロサンゼルス統一学区)は、21カ月ぶりに協約が暫定合意に達したことを発表した。ストライキ中盤の17日から協約交渉が再開され、土日祝日も含めた5日間、早朝から夜遅くまで行われた交渉で、UTLAの要求のほとんどが満足のいくものとして勝ちとられた。

 「ロサンゼルスで保護者や生徒、コミュニティーの人びとと共に闘った私たちUTLAの6日に及ぶストライキは、私たちの学校及び生徒、そして私たち教師としてのプロフェッションに大きく影響する重要なことがらに対応しうる歴史的な合意」とUTLAは報じた。給与の6%アップ、クラス人数の削減、看護師や図書館司書など専門職教師の常駐体制、テストの半減、チャータースクールの規制など、この数十年間で公立学校が奪われてきた様々なことがらを取り戻すための合意内容だ。そのうえ、コミュニティースクールの設置など、UTLAが理想とする教育体制の実現も見えてきた。

 交渉チームのリーダーとして全力を尽くしてきたアーリーン・イノウエは、「私はずっとこの闘いに勝利すると確信してきました。でも、これほど大きな成果を得られるとは思っていませんでした。私はまだこのすばらしい勝利に酔っていますし、勝利を可能にした強い団結と愛に浸っています」と語った。

組合員の圧倒的多数が暫定合意に賛成

 「私たちは、スト権投票で98%の組合員の賛成を得ました。ですから、ストライキを終えるにも暫定合意に賛成するかどうかは組合員が決めるのです」――22日の午前中の段階で組合員の80~83%が賛成票を投じ、〝スーパーマジョリティ〟(圧倒的多数)の賛成を得て、ストライキ6日目の市庁舎前の集会はストライキ勝利の歓喜で沸き返った。

 しかしUTLAは、この勝利を次へとつなげる糧とするように、組合員に呼びかける。「明日、堂々と誇らしげに学校に戻りましょう。私たちがこうありたいという望みは、このストライキを貫徹して根底的に引き上げられたのです。私たちは団結して、教育労働者はもっときちんと処遇される価値がある、生徒はもっとまともな教育環境を保障されるべきだ、と訴えました。私たちはこの望みを高く持ち続け、今のこの瞬間を手放してはいけません。なぜなら、次の闘いはすぐそこに来ているのですから」

公教育を絶対に守る闘いに百%の力を結集

 ストライキ初日の14日、グランドパークに結集した人びとは5万人に達した。3万人を超えるUTLAの教育労働者に加えて、保護者や生徒、コミュニティーの人たち、他の労組からも支援に駆けつけた。

 ストライキの5日間、毎朝7時30分には各自の学校職場の前でピケットを張り、ロサンゼルス市街へと結集して団体行動の抗議集会を続けた。卒業生やミュージシャン、俳優、教育評論家など多彩な人びとが登場し、ジャムセッションやダンスなど明るく集会を盛り上げた。

 「公教育を崩壊させるな」――みんなの思いは一つだ。「いま闘わなければ、公立学校は5年で崩壊してしまう」という教育労働者の切実な思いが、巨大なストライキに結実した。

 スト5日目の18日、市庁舎前での集会には6万人を超える人びとが集まって、市庁舎の中で協約交渉を続けるチームを声高らかに応援した。6万人のストライキ参加者を前に、UTLA委員長アレックス・カプートパールは語った。

 「みなさんは本当にすばらしい。生徒たちよ、声を上げたことを誇りに思いなさい。保護者のみなさん、子どもたちのために闘っていることを誇りとしてください。教育労働者のみなさん、子どもたちのために果たしている役割を誇りに感じてください。みなさんの団結力はすばらしい。このストライキは偉大です。私たちは勝利します。みなさんを心から尊敬します」

(動労千葉国際連帯委員会・小島江里子)

写真は上から、

①ストライキ5日目、市庁舎前での6万人集会(1月18日)

②スト6日目、協約合意勝利の集会で。UTLA執行部7人

③スト2日目、チャータースクール協会の前で抗議集会。チャータースクールの教師たちも参加した。

④スト2日目、音楽教師と有名バンドのジャムセッション

⑤スト5日目の市庁舎前集会で。アレックス・カプトパール委員長とセシリー・マイアトクルス副委員長

⑥市庁舎内で交渉を続ける協約交渉チームのメンバー