第16号(P.7) フランス 大デモでマクロンの増税を粉砕

 昨年12月1日、フランス全土で13万6千人がマクロン大統領の辞任を求めてデモに立ち上がった。パリでは都心のシャンゼリゼ通りを中心に暴動的闘いとなり、人民が警察と激突。催涙ガスなどで鎮圧にあたった警察により400人以上が拘束され、130人以上が負傷した。1968年の「5月革命」以来の激しい闘いだ。参加者は労働者、失業者、学生、退職者など多岐にわたっている。地方から参加した60代の教育労働者は、「私たちは富裕層や大企業のツケを支払わされている」「ここに来られない多くの人々、そして子どもや孫たち、そして生きていけない状況に追いやられているすべての人々のために参加した」と語った。

 この闘いは12月5日、政府に増税案を断念させるに至ったが、生きるための闘いはまさにこれからだ。

 ドライバーの象徴として黄色いベストを着用するこの運動は、今年1月からのガソリン・軽油増税に反対して始められた。公共交通機関が整備されていない郊外や地方の人々にとって、この増税は生活破壊に直結する。労働者たちは道路や燃料倉庫を封鎖するなどして抗議し、昨年11月17日の第1回行動には全土で29万人が参加した。

 要求項目は最低賃金や年金の引き上げ、法人税引き下げ反対、解雇制限緩和、社会福祉税引き上げ反対など40にも上り、右翼的なものも含まれている。しかし、17年5月の就任以来、大資本の代弁者として新自由主義攻撃を極限まで推し進めてきたマクロンへの怒りが、昨年来の労働法制改悪反対ストを引き継いでより大規模に爆発したことは明らかだ。

 緊縮財政下での生活費高騰、失業者の増大と格差拡大――「このままでは生きていけない!」という怒りは限界を超えた。SNSでの呼びかけに応えて参加者は日ごとに増加し、初めてデモに参加した人も多い。世論調査によれば、1日のデモ後も人口の約84%が「運動参加者の怒りを理解できる」と回答している。

 重要なのは、この闘いと同時に公共交通機関やアマゾンの倉庫や港湾、製油所、精錬所など多くの現場で労働者がストライキに立ち上がっていることだ。高校生も連帯行動に立ち、大学入試改革とマクロンの狙う徴兵制復活に反対して全国で100校以上の高校を封鎖した。さらに、緊縮財政に怒るベルギーやイタリアの人々も黄色いベストを着けて街頭へ。ブリュッセルでは右派の首相の辞任を求めるデモが巻き起こった。一方で、この「指導部のいない運動」の隙を狙って極右・国民連合のルペンらも便乗しようとした。

 韓国の「ろうそく革命」が示したように、闘う労働組合こそがあらゆる怒りをひとつに束ね上げ、階級として真に団結させることができる。

 今やヨーロッパ全域へと広がるこの運動と連帯して闘おう。

*写真は上から、

(上)パリ中心の凱旋門周辺を埋め尽くしたデモ隊(12月1日)

(下)労働者と連帯してデモの先頭に立つ高校生たち(12月8日)