第20号(P.1~3)特集 旭非正規職支会第4次遠征闘争

 3月25~30日、韓国・クミ(亀尾)市にあるAGCファインテクノ韓国(旧・旭硝子)での不当な解雇と闘う民主労総金属労組・旭非正規職支会が4回目となる日本遠征闘争にやってきました。

 組合結成を理由に下請け労働者178人をメール1本で即日解雇してから4年。組合員たちは、韓国の多くの非正規職労働者、青年労働者の怒りを体現して非正規職撤廃闘争の最前線に立ち続けてきました。

 今回は、昨年の春に続いてナムギウン首席副支会長とソンドンジュ文化体育部長、チャンミョンジュ調査統計部長が来日。3人は闘いを終えて「親の気持ちで接してもらいうれしかった」「自分たちの闘いのように積極的な姿勢に感謝します」「日本の同志たちとの距離がより近くなった」と語ってくれました。4月10日に始まった裁判では追いつめられた被告ハラノタケシのAGC退職・逃亡が判明しましたが、闘いはこれからです。

 

団 結 う ち 固 め た 4 日 間 の 闘 い

3/26

 今回の遠征闘争は26日、丸の内にあるAGC本社への抗議訪問でスタートしました。

 旭非正規職支会支援共闘会議がともに訪問しましたが、対応に出てきた総務部の中村はナムギウンさんの訴えもろくに聞かず、(事態解決を求める要請書に対する)「回答はすでに文書で示した」「時間がない」を連発して話の途中で逃亡しました。これまででも最悪の対応です。

 全員が怒りを爆発させ、直ちに本社前での宣伝戦を開始。これまでと比べても注目度は格段に高く、「AGC起訴」の重みを実感しました。

 また、安倍政権が徴用工や日本軍軍隊慰安婦問題などの戦争犯罪を居直って執拗に排外主義宣伝を行っている今だからこそ、韓日の労働者が巨大資本という同じ敵に対してともに闘っている姿が驚きと感動をもって受け止められたのではないかとも感じました。

 AGC本社の入る新丸ビルで清掃の仕事をしていたという女性もビラを受け取り、驚くとともに激励してくれました。英語のビラが威力を発揮し、外国人労働者や観光客からも注目が集まりました。

 午後からは厚生労働省で記者会見を行いました。

3/27

 27日は早朝から、横浜市鶴見区にあるAGC京浜工場前で出退勤の労働者にビラをまき、支援・共闘を呼びかけました。地元・神奈川の労働組合や婦民全国協の仲間も多数駆けつけ、工場入り口にある鶴見線の踏み切り前で訴えを始めました。

 京浜工場は100年以上の歴史をもつ巨大な工場で、敷地内には研究施設などもあります。職種や雇用形態の違いもあり、門をくぐっていく労働者の服装も年代もさまざま。来日した3人と同じ年代の青年労働者たちも多く出勤していきます。雨やみぞれに見舞われた昨年とは違って気持ちのいい快晴。驚くほど多くの労働者がビラを受け取り、熱心に目を通していました。「何がおこっているんですか?」とたずねてくる青年労働者もいました。車のドライバーにビラを差し出していた仲間も「ほとんど受け取る」と。

 午後にはAGC本社ビルをのぞむ東京駅丸の内北口で街頭宣伝。今回の遠征闘争のために旭支会の仲間が新調して持参した黄色いゼッケンと、2枚の大きな横断幕に注目が集まります。目の前のビルの工事にあたっていた青年労働者も訴えに注目し、じっくりとビラを読んでいました。

3/28

 「AGCは178人の解雇を撤回しろ!」「島村琢哉社長は解雇者との話し合いに応じろ!」――28日、株主総会の会場・東京會舘前に横付けされた宣伝カーから怒りのシュプレヒコールが響き渡りました。

 ナムギウン首席副支会長がマイクを握り、怒りを込めて島村社長に訴えました。「AGCファインテクノ韓国は、年平均売り上げ1兆ウォン(約980億円)! 社内留保金だけでも9千億ウォン! この巨額の収益は、外国企業に対する特恵と、最低賃金で働く非正規職労働者がいるから可能になったのです」「韓国では労働部が旭硝子の不法派遣を認定し、解雇された178人を直接雇用しろという是正命令を出しました。2月15日にはついに検察が旭硝子を不法派遣で起訴しました。この大量解雇の責任と決定権限はAGC本社にあります。本社の責任で解雇を撤回し、職場に戻せ!」

 なんぶユニオンの大野八千代さんは、具体的な数字を挙げてAGCが売り上げ以上の利益を出していることを突きつけ、「正社員で雇うところを非正規職で、しかも、実体は直接雇用にもかかわらず、下請け、派遣、請負という形態で働かせることで、AGCには責任がなく、いつでも解雇できる。これが人件費カットの手段です」と暴露しました。

 さらに、「世界中のグループ会社の利益を、日本の本社が吸い上げています。韓国工場の利益も、日本の本社に入っています。この構図のどこが『別の会社で関係ない』んですか?」と鋭く追及しました。

 会場に入っていく株主たちも大注目。実際に総会の場でも、「会場の外で抗議運動が行われていたが、AGCに関係するものなのか?」という質問が出されました。資本にとっては間違いなく大打撃です。手ごたえを感じる闘いになりました。

3/29

 29日、アメリカから来日中のスティーブ・ゼルツァーさんも加わって再度AGC本社を訪問。夕方の春闘集会にも参加しました。ナムギウンさんは「国家は違っても労働者はひとつだという精神で献身的に連帯してくれた日本の同志のみなさん、ありがとうございます。この連帯を、困難な中で闘っている同志たちに返していきます。あきらめず闘い、必ず勝利します」と熱く訴えました。(動労千葉国際連帯委員会・内田しをり)

写真は上から、

①株主総会の会場前で抗議のシュプレヒコール(3月28日 東京・丸の内)

②丸の内にあるAGC本社への抗議訪問(3月26日)

③横浜市鶴見区にあるAGC京浜工場前での街頭宣伝(3月27日)

④株主総会の会場・東京會舘前での抗議行動’(3月28日)

⑤再度AGC本社を訪問し抗議(3月29日)

⑥夕方の春闘集会で訴え(3月29日)

国際連帯共同行動研究所

新たな労働者の「インターナショナル」の建設を目指す研究所です。