第19号(P.7)ドイツ 交通労働者を先頭にストの波

世界・ヨーロッパの激動情勢の中、EUの基軸帝国主義ドイツで、労働協約改定期を迎え、交通をはじめ公共部門や鉄鋼・金属産業などで闘いが激化している。

 2月12~13日、公共部門の労働者が全国で賃上げと労働時間短縮を掲げてストライキに立った。ベルリンでは1万2千人の労働者が学校や託児所を閉鎖。教育・介護労働者は27~28日に再度のストに立った。

 2月15日にベルリンで賃上げと労働条件改善を求める交通ストが行われ、未明の3時30分から正午まで、ベルリン市交通局(労働者14,500人)の地下鉄・路面電車・バスが完全に止まった。乗客の支持はあつく、スト破りの余地はなかった。

 「ベルリン市交通局」経営の地下鉄(U-Bahn)と連邦政府直営の「ドイツ鉄道会社」のベルリン都市・近郊交通(S-Bahn)との賃金格差への不満が高まっていた。

 この格差は、ドイツ鉄道会社の労働者を組織するGDL(ドイツ機関士労組)とEVG(鉄道・交通労組)がストで闘い続け、まがりなりにも要求を貫徹してきた一方で、ベルリン市交通局の労働者を組織している公共サービス労組(ver.di)が、この7年間ストを放棄して攻撃に屈服してきたことによる。

 ベルリンは、「赤と緑(社民党・左翼党/緑の党)の連立市政」が、新自由主義の緊縮財政政策の先兵となって低賃金化、人員削減、社会保障制度の解体を強行してきた。今回の協定交渉でも、ベルリン市政に支えられた経営者団体は、運転士の休憩時間を1時間短縮する一方で、1回の勤務時間を延長しようとしている。さらに、人員不足を理由に週45時間までの勤務時間延長を要求している。ベルリン市交通局の職場では現在、病気などによる欠勤率が最大12・8%に及び、業務の維持に問題が生じている。

 ドイツは低賃金労働者の割合が22・5%でEU内トップ、ミニジョブ(平均賃金が月額450ユーロ以下で非課税の職)についている労働者の割合が全労働人口の23%(3270万人)、ダブルジョブが教育・医療・社会保障などの分野を中心に340万人という状況だ。階級的労働運動の課題は大きい。

(動労千葉国際連帯委員会 Y・S)


写真は、上から

(上)ベルリン市交通局前で抗議のデモ

(下)ストに決起したバス運転士たち

国際連帯共同行動研究所

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