第19号(P.2~3)3・10国際シンポ-3・11反原発行動が大成功

「事実を発掘し続け、語り続ける」

 3月10日、福島市で「第3回被曝 ・ 医療 福島シンポジウム」が開催され、県内各地と全国から200人を超える人が参加しました。

 琉球大学名誉教授の矢ケ崎克馬さんは「ICRP(国際放射線防護委員会)は科学を破壊し、放射線被害をがんなどのきわめて狭い疾病に閉じ込めている」と述べ、さらに「放射線で命を奪うことを『公益』が勝れば許されるとし、原発の放射線による殺人を『正当化』して社会的認可を与えるものだ」と徹底的に断罪しました。

 次に、南相馬市の小高赤坂病院理事長・院長の渡辺瑞也さんが、「福島原発事故による健康被害は起きていないなどと言うのは論理的にありえない」と語り、自身や身近な人の病気にふれ、患者さんからも、知人や友人の急死やがん発症の話を多く聞くと報告しました。また、「原発事故に対する賠償制度は加害者の保護に厚く、被害者に冷たい」と怒りを込めて解説し、「背後にIAEA(国際原子力機関)という巨大な核戦略体制が存在する。世界の人と連携し粘り強く対峙していくことが大事」と訴えました。

 韓国・東国大学医学部教授のキムイクチュンさんは、韓国の原発政策などについて報告。さらに、米英仏の原発労働者30万人以上を対象に平均27年間追跡調査した結果を紹介し、低線量の被曝でもがんの増加率は被曝量に正比例したことを明らかにしました。IPPNWからのビデオレター(下に抜粋を掲載)も紹介されました。

 パネルディスカッションと質疑応答が行われ、最後に渡辺さんが「IAEAや国・福島県当局の今の対応がいつまでも通るとは思わない。県民一人ひとりの中にマグマのように沈潜している思いが、いつか主張となって出てくる。事実を発掘し続け、語り続けるのがわれわれの役割」と語りました。

700人が郡山市内をデモ

 2011年の東日本大震災と福島第一原発事故から8年目の3月11日、福島県郡山市で3・11反原発福島行動19が開催され、700人が結集しました。

 集会で主催者あいさつに立った動労福島の橋本光一委員長は「汚染水も汚染土も現実には何も解決していません」「安倍の改憲もトランプの核戦争も阻止しましょう。原発事故の責任を取らせ、原発を廃炉にしましょう」と呼びかけました。

 核廃棄物最終処分場建設に反対して不屈に闘うドイツのゴアレーベンからのメッセージが紹介され、さらに、福島県浪江町の「希望の牧場・ふくしま」の吉沢正巳代表が「3・11は終わっていない。戦争の時代、原発の時代への逆戻りに対して闘いを続けよう」と熱く訴え。動労水戸の石井真一委員長も常磐線全線開通に絶対反対で闘う決意を表明しました。

 現場からは、愛媛県職労の宇都宮理書記長、京都府職労舞鶴支部の長岡達也支部長がそれぞれ地元の伊方、高浜・大飯原発などの再稼働阻止闘争を報告。「改憲・戦争阻止! 教え子を再び戦場に送らない! 広島教職員100人声明」呼びかけ人の倉澤憲司さんは、文科省が発行した放射能安心キャンペーン副読本の配布を許さず、すべて回収させた勝利を報告しました。

 全国農民会議の鈴木光一郎さん、三里塚芝山連合空港反対同盟の伊藤信晴さんも市東孝雄さんとともに登壇し決意を語りました。診療所建設委員会代表の佐藤幸子さんが福島の状況を語り、ふくしま共同診療所院長の布施幸彦医師は東京オリンピック返上、改憲阻止、安倍打倒を訴えて闘おうと呼びかけました。

 集会後は郡山駅までのデモに出発。途中、何人もの市民がデモ隊に手を振ったり、笑顔でこぶしを上げたりして応えてくれました。  (研究所事務局)


【IPPNW(核戦争防止国際医師会議)ドイツ支部のメッセージ】 

 福島県立医大が政治的圧力のもとにおかれていることが問題です。日本政府だけでなくIAEA(国際原子力機関)も、事態をなんとか過小評価しようと必死になり、子どもたちに検査を受けさせないようにしたり、検査結果は原発事故とは関係ないと言ったりしています。しかし、福島と日本全国の人々には、全世界の人々と同様に健康に生活し、環境についての正確な情報を得る権利があります。県立医大や日本政府、原発企業などが現在のような態度をとり続けることを許すわけにはいきません。

 今この瞬間にも汚染水が海洋に放出され、地下に染み込み、膨大な量の放射能が山や森に蓄積されています。私たちIPPNWは引き続き、福島の状況について目を離さず、福島県立医大の提出するデータをチェックしていきます。そして、日本政府が正しい対策をとることを要求し続けていきます。(抜粋)


写真の絵解きは、上から

(上)集会場で一斉に「なくそう原発!オリンピックやめろ」のボードを掲げる(3月11日)

(中)県内外から集まった参加者で国際シンポジウムの会場は満員に(3月10日)

(下)郡山市街を元気にデモ(3月11日)