第18号(P.4~5前半)アメリカ UTLAの歴史的大勝利に続き全米に拡大する教育ストライキ

●オークランド

 カリフォルニア州オークランドの教員組合・オークランド教育協会(OEA)は2月21日朝6時30分にストライキに突入し、オークランド統一学区内の公立学校全86校の前でピケットを張った後、市街地に結集して抗議集会を開きました。OEAの協約要求はUTLAと同様にクラス人数の削減、看護師やカウンセラーなど専門職教師の増員、賃上げなどですが、今回のストで掲げる項目には「学校閉鎖の中止」が加わりました。

 オークランドの教育委員会は1月28日、「5年以内に公立学校86校のうち24校を閉鎖する」という決議を圧倒的多数(6対1)で可決しました。その手始めに、ある中学校を今学期末(2019年6月)で閉鎖すると発表したのです。

 学区の生徒の87%がアフリカ系・ラテン系の子供たちという状況の中で、この学校に通う95%が有色人種であり、カリフォルニア州が貧困レベルかそれ以下と規定する家庭の子供たちです。

 オークランドは学校の民営化が最も進んでいるカリフォルニア州の中でも、チャータースクール(公設民営校)に通う生徒の比率が最大の地域です。すでに44校のチャータースクールがあり、全生徒の4分の1がチャータースクールに通っています。オークランド統一学区は公立学校を閉鎖してさらにチャータースクールを増やそうとしているのです。

 「オークランドの教師たちは、オークランドでは生活できない給与しかもらっていません。毎年、5人に1人が教職を離れていきます」と、小学校教師のロゼンダ・トーマスは話します。「オークランドの教育労働者の賃金はアラメダ郡の公務員の中で最低。だからストライキで満額の回答を期待している。ほんの少しの賃上げでは妥結できない」

 学区はストの際も非常勤の講師を雇って学校を平常通り開き、市内の15のリクリエーション・センターを「ソリダリティー・スクール」として開放しましたが、オークランドの公立学校に通う生徒やその保護者たちの多くはOEAのストライキに合流しました。

 UTLAは、22日の早朝6時30分にロサンゼルスの各学校の前でのスト連帯行動に立ち上がりました。ILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル34も組織として連帯を表明しています。

 ●デンバー

 コロラド州デンバーの教員組合・デンバー教職員協会(DCTA)は2月11日にストライキに突入しました。早朝7時に各自の学校の前でピケットラインに立ち、午後には雪の積もる市庁舎の前で抗議集会を行いました。協約交渉は翌12日から再開され、14日明け方、11%の賃上げなどを盛り込んだ暫定合意に学区と組合の双方がサインして3日間続いたストが終結しました。

 ●シカゴ

 2月12日からストライキを貫徹したシカゴの四つのチャータースクールの教師たちは、18日にシカゴ・インターナショナル・チャータースクールズ(CICS)の経営側と暫定合意に達し、ストを終結しました。8%の給与アップとクラス人数削減(28人を目標に、まずは30人を限度とする)をかちとりました。カウンセラーやソーシャル・ワーカーを増やす確約も得ることができました。

 ●ウェストバージニア

 1年前に大ストで全米に大きな衝撃を与えたウェストバージニアの教育労働者が、2月19日に再び州の55郡中54郡のすべての学校を閉鎖し、民営化を推進し労働組合を解体することを狙う「オムニバス教育法案」に反対するストライキを展開しました。

 法案は数時間後に州の下院で廃案(公式には無期限延期)となりましたが、上院でこの決定が覆されることのないよう、翌日もストは継続されました。

 22日の午前中に公聴会が開かれることになり、教師たちはストを一旦中止して授業に戻りましたが、労組のリーダーは今後も成り行きを注視していくと語っています。(動労千葉国際連帯委員会・小島江里子)


写真は上から、

1、ストに突入し、オークランド市庁前のフランク・オガワ・プラザで集会を行う教育労働者と支援者たち(2月21日)

2、アーリーンさんを招いて2月9日にオークランドで行われたイベントのポスター

3、2月14日のバレンタインデーを前に学区に向けて「私たちに愛を示して」と明るくデモ行進するデンバーの教育労働者たち

4、オムニバス法案の廃案をかちとり、勝利に沸くウェストバージニアの教育労働者と支援者たち(2月19日)

国際連帯共同行動研究所

新たな労働者の「インターナショナル」の建設を目指す研究所です。