第17号(P.8)韓 国 ファインテック闘争が426日目の勝利

 1月11日、実に426日にも及ぶ高空籠城(ろうじょう)を闘いぬいてきた金属労組ファインテック支会の仲間がついに籠城を解き、地上で待つ仲間との合流をかちとった(左写真)。昨年11月の訪韓闘争の際に動労千葉訪韓団も訪問・激励した現場だ。

 1月11日の朝、労使の代表が、子会社での雇用を保障する合意案を発表。これをうけ、2人は約300人もの労働者・市民らが見守る中で地上に降り立った。

 ファインテックの労働者たちは、労組破壊のための常套手段である資本の買収・廃業攻撃と闘いぬいてきた。

 ファインテックの親会社であるスターフレックスは2010年にスターケミカル(旧韓国合繊)を買収し、2013年1月に労働者を大量解雇した。

 韓国合繊出身のチャグァンホ支会長はこれに抗議して2014年5月からスターケミカル工場の煙突で408日間の高空籠城を行った。この闘いは団体協約を資本に認めさせたが、資本は2年で廃業を決定し、団体協約の履行を拒否。労組排除の意思を隠そうともせず「労組が入ってくると会社が倒産する」などと発言した。

 そこで、スターフレックスの子会社ファインテックのホンギタク前支会長とパクジュンホ事務長は17年11月12日、雇用、労組、団体協約の三つの継承を認める労使合意の履行などを要求して、ソウルにある発電所の高さ75㍍の煙突の上での座り込みに突入した。地上に残った3人の組合員も、チャグァンホ支会長を先頭にスターフレックスの事務所での抗議座り込みを行うなどして闘いを継続してきた。

 しかし社長のキムセグォンは労組の要求を一貫してはねつけ、弾圧に手を染めてきた。2人の組合員は強風と激しい暑さ・寒さに耐え、なんと煙突の上で2回も冬を越すこととなった。さらに、今年の1月6日からは無期限ハンストに突入し、決死の覚悟で闘った。

労働者階級全体の怒りを体現

 自らの雇用のみならず、独占財閥や国家情報院の解体、労働悪法撤廃を掲げてきたこの闘争は、組合員5人のためだけの闘いにとどまるものではなかった。長期の闘争を経て復職をかちとった鉄道労組KTX(韓国高速鉄道)乗務支部長をはじめ、他労組の組合員や市民が「1日組合員」となって1人デモを行ったり、篭城現場を防衛したりしてともに闘った。昨年12月の泰安発電所事故で命を奪われたキムヨンギュンさんの母・キムミスクさんもこの闘いに連帯し、文化祭でも発言に立った。労組破壊のための廃業や統合によって労働者の生活や人生を踏みにじる資本のあり方に対し、あらゆる産別の労働者が自らの闘いとしてこれを担い、勝利を実現したのだ。

     (動労千葉国際連帯委員会・内田しをり)