『月報』第1号文字版(5~6ページ)

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変わらぬ連帯でともに進もう

全国公務員労働組合ソウル地域本部 永登浦区支部長 チミンスさん

 こんにちは。私は全国民主労働組合総連盟ソウル地域本部を代表して、今回動労千葉の皆さんとともに闘うために訪問した全国公務員労働組合ソウル地域本部永登浦(ヨンドンポ)区支部長チミンスです。本日の集会に招請してくださり、どうもありがとうございます。

 韓国は、1700万の広場に燃え上がったロウソクの力でパククネ大統領を弾劾させました。韓国国民はいつになく期待に満ちています。

 イミョンバク大統領とパククネ大統領の10年間、まったく話の通じない政権によって韓国は民主主義が前進できず、後退する深刻な状況に追い込まれていました。民主主義の後退にとどまらず、パククネの執権期間ずっと、民間人チェスンシルが国政を壟断(ろうだん)しました。セウォル号沈没事件で、冷たい海で幼い高校生数百人が死んでいく中何の措置も取らなかったことへの批判の声に耳をふさいだ結果、大統領の5年の任期中に、国会ではパククネ所属のセヌリ党議員たちまで弾劾に賛同しました。2016年12月9日の国会本会議で、パククネ弾劾案が299人の国会議員中234人の賛成で可決され、3月10日には憲法裁判所の裁判官が全員一致でパククネ大統領を罷免(ひめん)しました。

 いま私たちは、この10年間の右派政権の積弊を清算しなければなりません。彼らは、韓国労働者の代表である私たち全国民主労働組合総連盟を貴族労組と呼び、虎視耽々(こしたんたん)と、内部分裂させ闘争路線を破壊しようと企んでいます。

 私たちはこれに屈せず闘争の手綱を引いて、去る6月30日、全国から集まった数万の労働者と連帯して社会的ゼネストを行いました。これを通じて、真の労働者が中心になる国家建設の中心に、私たち民主労総が国民とともにいることを社会全体にくまなく知らせ、力強い社会的呼応を得ました。また最低賃金を、昨年に比べ史上最高上昇率の16・4%引き上げた7530ウォンに決定させました。2020年までに1万ウォンにするという政府の政策に同意せず、より早い期間内に労働者民衆がより良い暮らしができるように強力な闘争を継続します。

 動労千葉は、2003年から14年間、国際交流事業の一環として私たち民主労総とともに進んでいます。動労千葉がこの間さまざまな困難を克服し、今年この集会を通じて、もう二度と侵略戦争をしないという誓いを貫くため、日本の戦争国家化に立ち向かう集会として、また日本が20世紀初めの帝国主義に回帰する憲法改悪に反対して、安倍打倒の8・15集会を成功させ、戦争・改憲絶対反対、安倍打倒の大きなうねりをつくりだすものと確信します。

 私たちは、動労千葉が日本で国鉄分割・民営化絶対反対、民営化・非正規職化絶対反対のために努力していることをよく知っています。

 また、第2次大戦の戦争誘発者として世界平和に努力しなければならない安倍政権は国会で「共謀罪法」という悪法を通過させました。韓国国民は、これがかつて朝鮮、台湾の植民地支配と中国、アジアに対する侵略戦争として労働者人民を動員した「治安維持法」にならったものであり、自衛の概念を超えて世界を再び戦争の惨禍に追い込む悪法であることをよく知っています。共謀罪のターゲットは労働組合です。安倍政権は、労働組合が団結することを最も恐れています。

 また動労千葉が、1966年に佐藤政権のもとで始まった三里塚空港反対闘争を、不屈の精神と非妥協の覚悟で、労農連帯として農民と一致協力し、永々と50年間継続している点は驚かざるをえません。三里塚空港は朝鮮半島有事の際に米軍基地として使われるという計画を、読売新聞、朝日新聞が2007年に明らかにしています。

 今後も、私たち民主労総と動労千葉が変わらぬ連帯で、労働者民衆の側に立ち、労働者民衆の痛みに目を閉じることなく、自ら立ち上がり、韓国と日本の正義を守る者としてともに進もうと思います。今回の訪問の意義深い精神を11月の韓国訪問を通じてもう一度確認しようと思っているので、韓国に来ていただくことを期待します。ありがとうございます。

(「改憲・戦争絶対に許さない8・15集会」での発言。8 月15 日、東京)


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インタビュー  サード配備と闘うキムヒョンゲさんに聞く

400日に及ぶろうそく集会で米日帝の戦争阻む

 8・6ヒロシマ大行動に韓国・ソンジュ(星州)から参加してくださったソンジュ・サード配備撤回闘争委員会地域住民委員会代表のキムヒョンゲさんに、サード配備反対の闘いの経過、そしてムンジェイン政権との闘いについてお話をうかがいました。

▽私たちは、サード配備撤回を闘うソンジュの闘いに感動をもって注目してきました。サード闘争の経過を聞かせてください。

▼昨年7月16日、突然サード配備が発表されたのです。国民的な理解を得るための説明会などは何もありませんでした。ただちにソンジュ地域で住民たちが立ち上がり、サード配備決定撤回の闘いが始まりました。

ソンジュは、大統領選挙でパククネ支持率が86%の地域でした。そのソンジュが選ばれたのは、政治的抵抗が一番小さい地域だと判断されたのだと思います。

 しかし、それは大失敗でした。ソンジュの住民たちはパククネを支持したにもかかわらず軍事基地を配備されたことで、裏切られたと猛反発しています。

 その猛烈な反発に驚いたパククネ政権は、設置場所をソンジュのソンサンからソソンリにあるロッテゴルフ場に変更しましたが、ソソンリの隣のキムチョン(金泉)の住民も一緒にろうそく集会を毎日やっています。ソンジュのろうそく集会は、8月16日には400日になります。キムチョンの地域も365日に近づいています。

 最初、ソンジュにサード配備が決定された時、ソンジュの自治体首長もそのことに反対して一緒に闘いました。セヌリ党(当時の与党、現在は「自由韓国党」と改名)の候補で、当選して自治体首長になった人です。

 ソンジュのろうそく集会は最初、自治体が主導して始まったんです。

しかし自治体首長はパククネ政権の圧力に屈服し、圧力をかけてきました。それで住民たちが自治体とは関係なく、独自の組織を結成しようということで地域住民委員会ができたのです。

 サード闘争は、セウォル号闘争や民衆総決起闘争で亡くなった農民・ペクナムギさんの死の真相究明を求める闘いと結合し、公共部門民営化反対闘争、鉄道ゼネストとつながりました。

 昨年10月にパククネ・チェスンシルゲートが暴露され、パククネ退陣、非正規職撤廃を掲げた民衆総決起闘争が始まりました。1700万人が立ち上がったろうそく集会の中で、サード配備反対闘争は民衆全体の課題になりました。

 パククネが弾劾・拘束され、自ら「ろうそく政府」だと称するムンジェイン政権ができあがりました。しかしそのムンジェインが、北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)発射に対し、即座にサード追加配備を決定しました。北朝鮮がICBMを7月28日の午後11時45分に発射すると、ムンジェイン政権が29日の午前0時に会議を開き、午前1時にサード追加配備を決定したのです。

 翌30日、ソンジュ・キムチョンのサード配備撤回全国共同行動委員会は「ムンジェイン政府がろうそくを裏切った」と発表し、積弊清算を掲げて大統領府への抗議デモ・集会、国防部前での抗議集会を行いました。

 今、住民たちは基地に通じる道路を占拠し、発射台搬入を阻止しています。緊迫した状況です。

 パククネは突然、なんの国民的な理解も得ずに日本軍軍隊慰安婦問題をめぐる韓日慰安婦合意や韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を締結し、続いてろうそく抗争によってできたムンジェイン政権も、サード配備についてなんの国民的合意もないところから追加配備する。朝鮮半島における米帝、日帝の戦争挑発があり、戦争が切迫する中でムンジェイン政権が協力している形になってしまった。

 この中でサード反対闘争こそが、韓国で超切迫している戦争の危機を阻止する闘いのひとつではないかと思っています

▽5年前にきのこ栽培を始める前は民主労総・金属労組のリーダーとして活躍されていたわけですが。

▼労働者と農民が連帯して闘うことは、それはもう当たり前のことです。あらゆる場面で連帯して闘わなければならないと思っています。

 サードは農村に配備されたんですが、戦争という観点から見れば、農民、労働者を問わずにすべての人民の問題だと思っています。

 もっと深いところまで言えば、社会体制の中での労働者階級の階級対立の問題と、資本主義のメカニズムは、根本的に低賃金、農産物の低価格が根本にあるから、労働者と農民は分けるものではありません。

 もう一歩踏み出せば、戦争に対して労働者、農民の立場から見る必要があると思います。戦争はその根本から見れば、資本の欲望から生み出されるものです。資本は基本的に、資本をもっと太らせるために非正規職や穀物の低価格政策で労働者と農民を犠牲にしています。

▽ソンジュの人たちは北朝鮮の脅威があおられている中で、どういう論議を進めているのでしょうか?

▼サード・戦争反対の闘いはソンジュ地域でやっていますが、実際はその周り、世界の情勢をよく見ながらやらないといけないと思います。トランプ、安倍、ムンジェインが安保のために戦争を準備しなければならないというのはうそで、本質的には北朝鮮のICBM発射は口実でしかありません。

 米日韓の同盟は、世界の資本主義が危機に追い込まれ、新自由主義のあらゆる矛盾が爆発する中で、資本が生き残るために戦争をし、その犠牲を労働者人民に負わせるためのものだと認識しています。戦争の危機をあおり、安保の論理で今の社会、新自由主義の社会のあらゆる矛盾を隠蔽(いんぺい)しようとしています。

 新自由主義を転覆し、どうすれば人間が人間らしく生きることができる社会をつくりだすことができるのかがわれわれの課題だと思っています。

▽最後に、日本の労働者・農民にメッセージを。

▼今は新しい世界への転換点、変革の時代です。自らの手で新しい世界をつくりだすか、もしくは戦争をしようとしている新自由主義・資本によって、われわれの生活、社会、そのすべてを失ってしまうかの分岐点に立っています。一緒にがんばりましょう。韓国と日本の労働者、農民が一緒になって戦争に立ち向かうことはすばらしいと思います。

 安倍政権は、帝国主義として朝鮮半島の戦争に突入しようとしています。再びアジア全体に惨禍がもたらされることがないように、原爆投下から72年、広島の原爆犠牲者、被爆者の声、平和を願う声を聞いてほしいと思います。


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国際連帯共同行動研究所賛同のお願い

2017年7月30日

所長・鈴木達夫(動労千葉弁護団)/事務局長・鎌田雅志(元全学連委員長)

(1)全世界の労働者が「生きさせろ!労働を奪い返せ!」と決起し、その先頭には、一千万人民のストライキとデモで財閥支配政権を倒し、労働者が主人公の社会の建設に闘いを進める韓国民主労総(全国民主労働組合総連盟)の旗が翻っています。

 資本主義の最後の生き延び策が戦争です。中東・ウクライナそして北東アジアで、市場・資源・勢力圏をめぐる核兵器をも使った強盗戦争がはじまりました。

 三たびの世界戦争を革命で阻む。一切が労働者階級の肩にかかった人類史の分岐点です。

(2)トランプ政権や安倍政権をはじめ、あらゆる国の政府・資本家どもの「愛国主義的」排外主義の横行に対して、階級的団結と国際主義を守り広めるという労働者階級の義務は緊急の課題です。「それぞれの自国政府の外交活動を監視し、あらゆる手段を行使して自国政府に対抗し、一斉に示威運動を組織することは、労働者階級の解放めざす全般的闘争を構成する部分である」(マルクス、第一インターナショナル創立宣言)。

 この精神は、世界の労働者階級に脈々と受け継がれてきました。民主労総のゼネストに連帯して日本から訪韓した220名の動労千葉派遣団は、「プロレタリアートの一員として自分はここソウルに来た。こうした闘いをわれわれも出来ることを確信した」と語っています。

(3)労働者は、民族・国籍・国境を越えた単一の存在です。国際的に団結した力こそが、戦争を阻み、世界史の新しい扉を開くことができます。

 日々職場で闘われる階級的労働運動と一体で、「新しいインターナショナル」の建設に着手しましょう。その準備として、ここに「国際連帯共同行動研究所」を設立し、以下の行動にとりかかります。多くの方々の賛同と絶大な資金援助をお願いします。

  ①世界の労働者階級の戦争反対と社会変革の闘いの情報を収集し、「月報」を発行。

  ②パリコミューン・ロシア革命以来の国際連帯闘争の研究・発掘とその成果の交換。

  ③現実の国際階級闘争の経験の人民的交流。

  ④情勢に対応した国際共同行動の提案。

★年会費の振込についてのお願い

 年会費は、一口2000 円です。一年ごとに更新をお願いします。

 賛同される方は、手数をおかけしますが、《名前、職業・肩書き・所属団体など、住所、電話・メール、年会費の口数・金額》を記入したものをファクスまたは郵便で当研究所まで送った上で、以下の口座に振り込んで下さい。 →ゆうちょ銀行、店番018、普通7262188、「国際連帯共同行動研究所」

国際連帯共同行動研究所

新たな労働者の「インターナショナル」の建設を目指す研究所です。